0104.アメリカにおける文書管理の沿革

01.「文書管理」の周辺知識

アメリカにおける文書管理、正式に言うなら「アーカイブス」の考え方は、記録管理としては王道でありますが、現代社会における企業活動においては少し方向性が異なると感じています。

アメリカにおける文書管理という言葉とすると「ファイリング」、「レコード・マネジメント」が状況に応じて使われています。

日本で「ファイリング」というと、バーチカル・ファイリング・システムを指すことが多いので、これを「ファイリング」と称することにします。これは「文書管理」とは若干異なって「文書整理法」として捉えるほうが実態に近いように思います。

ファイル」といえば、書類を綴じるものであるわけですが「ファイリング」というと、「編綴しない」「垂直に収納する」と言うような特徴を喧伝している記述が多いようです。

レコード・マネジメント」と言う言葉もアメリカでは「アーカイブス」と合わせて使用されていますが、日本では「記録管理」と言う言葉に訳されることが多いようで、「ファイリング」も「レコード・マネジメント」も、漠然と「文書管理」の範疇として定着していると考えて間違いがないでしょう。

ファイリング」の画期は編綴・製本することをやめて厚紙に個別文書を挟んで垂直に格納する什器と収納法が20世紀の初頭に展開されたことで、1930年代には米国各地の学校で教えるテーマにもなっていったようです。

ちなみにアメリカで「レコード・マネジメント」と言う言葉と考え方が登場するのは1940年代のことだそうです。

その前提として「ファイリング」による整理法、検索性などがあったことは大きな前進であったことでしょう。

1929年から始まった世界恐慌においてもファイリングを学んだ人の就職は悪くはなかったとのことです。

ファイリングが発生し、文書の管理業務の発展形としてレコード・マネジメントとして専門化してくる背景には公文書館の設立も大きな影響がありましたが、公文書の管理だけではなく20世紀初頭からの近代企業の大いなる成熟がありました。

アメリカ企業の発展を陰で支えたのが「文書主義」であったということは、「ドキュメント・マネジメント」としてではなく「レコード・マネジメント」と言う造語を充てたことからも推察することができます。

つまり、マネジメントすべきは「ドキュメント」ではなく「記録」であるということが明確に示されています。

日本では「記録管理」ではなく「文書管理」と言う言葉が定着した背景として考えられるのは電子化をいくら唱えたところで固執しているのは「記録」ではなく、あくまでも「文書」であるというところに大きな違いがあると言えます。