組織文書を考える

組織の中にはたくさんの文書があり、毎日、発生しています。

そのような文書には、書式が定型化されたものが多くありますが、中には「構造化」を意識して作成しなければならない種類の文書も少なからずあると思います。

ここで、あえて「組織文書」としている対象は「仕様書」「作業手順書」「マニュアル」「報告書」「レポート」「説明書」あるいは「論文」のような、組織価値に直結しており、共有性や蓄積価値のある文書を主として考えています。

これらの文書に共通していることは、ある程度のページ数が想定されることにあります。

「組織文書」には、ページ数の多寡とは関係なく、明確な文書作成の目的があるわけで、その目的を達成するために重要なことは「構成」です。読み手に意図を伝えるという意味においては、ページ数が少なかったとしても原理は同じです。

書く内容は、書き手の頭の中にあるわけですが、それを思いつくままに書き出せばいいわけではありません。

特にボリュームのある文書を作成するために真っ先にやらなければならないことは「骨子」を作ることになります。

漢文の絶句では「起承転結」といいますし、論文などでは「序論・本論・結論」のような構成を推奨している向きもあります。また、PREP法というような南蛮渡来の考え方もあって、これは「Point:要点、Reason:理由、Example:例示、Point:要点」というような展開法のことだそうです。

その他にも、さまざまな考え方や理屈があるようですが、最も大切なことは「中身」であることは言うまでもありません。

「骨子」を作るうえで大切なことは、その文書が読み手に伝えようとする「意図」または「目標」をはっきりと認識する必要があります。「骨子」は、その「目標」を達成する上で最も効果的と思われる構成にしなければ、努力が徒労になりかねません。

本屋で手にする本は、まず、目次を見ることと思いますが、まさに「骨子」を作ることは「目次」を作る作業であると言えます。とはいえ、これはそんなに簡単なことではありません。

読み手に対して効果的な「目次」を案出するためには、さまざまな理論や理屈以前に、読み手に伝えたい内容(コンテンツ)が充満していればこそ、概略の「骨子案」を創出することができることになりますが、ここで注意しなければならないのは「物事を思いつく(考える)論理の順序」と「読み手に理解されやすい論理の順序」には違いがあるということです。

ここで必要になるのが、論旨を論理的に箇条書きでまとめる作業(骨子)になります。これをハイカラに表現して「アウトラインを作る」と呼称します。

手法としてみれば演繹的に構造を確定してから、帰納的に文書を肉付けしていくのがよさそうです。構造を概略でも確定しておくことで全体を俯瞰することができるので、その後の文書作成作業においても方向性を決めながら書くことができるようになります。

常に意識することは、文書作成の「目標」を意識しながら執筆していくことです。