02.「文書管理」を組織から考える
某総合大学に文書管理システムを納入し、サポートをしていて感じることは、「分掌」が規定として活用されていないように感じられることですが、これは、おおかたの日本の組織で共通しているような気がします。
「分掌」では概念を示し、各論は実際に職に従事する人材によって遂行されればつつがなく組織が回るのが日本型組織の強みでもあるわけです。
ここへきて「ジョブ型雇用」などと言う言葉が登場してきている背景には、コロナ禍によってテレワークやリモートワークが常態化したことの影響があるのでしょう。
しかし、その前に不可欠な組織文化は「文書主義」に尽きます。
文書管理に関わって痛感したのが、組織文書は職務に付随するものだという当たり前のことです。
つまり文書管理と職務は切り離すことができない関係性を持っていることを前提にした管理手法であるならば、主観判断を大幅に排除することができるはずです。
そのことは、雇用形態が「ジョブ型」であろうが「年功型」であろうが同じことです。
ファイリングの説明を読むと、「ツミアゲ式」と「ワリツケ式」と言う説明がされています。大方は「ツミアゲ式」を推奨しています。
ファイリングの発祥の地であるアメリカにはレコードマネージャによる「ワリツケ式」が基本で、「ツミアゲ式」は日本発祥の方式というような記事を目にしたことがあります。
「ツミアゲ式」の最大の欠点は担当レベルの主観的判断に依存する点にあります。
組織活動として作成したり、収受するすべての「組織文書」は、組織活動として、いずれかの「職務」に付随するわけで、そこには主観的判断はありません。
なにを「管理」するとしても、属人性や主観性を極力排除することは、管理の維持や持続性において、もっとも重要な要素となります。