線を2本引くだけで4つの領域を作ることができます。
一般的には「第1象限」か「第3象限」に集中することが多いのですが、これは、当然の帰結です。そこで、「第1象限」にプロットされた要素を取り除いて再計算をすることで、「2軸4考」では、リソースを集中するべき項目を浮かび上がらせることができます。
以下では、文書管理システムを導入して3年目の事業体で実際に使用した例をもとに考察してみます。
設問は、
1)文書ファイルの背表紙の標準化について
2)保存箱ラベルの標準化について
3)定例型文書ファイルの単年度完結について
4)案件型文書ファイルの完結について
5)保存期間経過文書ファイルの書庫移管について
6)文書保存規程に沿った保存箱の廃棄について
7)ファイル用具の統一について
8)文書ファイルの私物化原則禁止について
9)文書ファイルの共有化について
10)文書ファイルの管理システムへの登録について
の10問に対して「重要度」と「実施度」をそれぞれ4段階で聞いています。
「とても重要」が「1点」で、「重要とは思わない」が「4点」になります。実施度も同様です。
各設問に対する「重要度」、「実施度」の平均は、
重要なことは「重要度」「実施度」、それぞれの「平均」からの距離にすることです。
ここから「散布図」を作ります。この表を行と列を入れ替えた表にします。計算式だとおかしなことになりますので、値として貼り付けてから行列入れ替えて貼ります。
「散布図」の作り方は、「重要度」「実施度」を選んで、「挿入」から「散布図」を選ぶと
「書式」にして左上にグラフの各種の設定がプルダウンで選べますので、適宜、必要に応じた設定を加えます。
プロットされた「青●」を選んで「データラベルの追加」をします。
そうすると右側に数値が表示されますので、その数値を選んで「データラベルの書式設定」とすると、
まず、「セルの値」にチェックを入れます。そうすると「範囲指定」の表示が出るので表側の文字タイトルをドラッグで選びます。
次に「Y値」のチェックを外します。
設問の「1」「8」「9」「10」は、平均としては、重要度もあり、実施度もあることが分かります。
「6」は、重要だと思うものの、実施があまりできていないことが示されています。これは、「実施」さえできれば第1象限にプロットされる事項なので、優先度が高い項目であることが示されています。
問題なのは「2」「4」「5」「7」になりますが、もし、コンサルタントであるなら、この項目に対しての「教育」や「現状調査」などを顧客に提案することができる項目でもあります。
「1」「8」「9」「10」は一応できているとして、この4項目を外して集計をし直してみると、
このようにプロットが変わります。常に平均からの距離を求めているので、マイナスだけの要素になることはありません。必ずプラスとマイナスが拮抗するようにバランスすることとなります。
このグラフから優先すべき事項として「ファイル用具の統一」と「保存期間経過文書ファイルの書庫移管」の重要性を浸透させることに当面のリソースを充てるべきであることが示されています。
これはあくまでも全体傾向なので、個々の部署が持つ個別な事情も斟酌しながら進めていくことで、取り組むべき優先課題を簡単な計算で「見える化」することができるわけです。
2軸4考は
数学的要素は「足し算」と「平均」だけで、対処するべき優先課題を全体傾向として把握することができることが、最大の特徴です。難しい統計処理のようなブラックボックスは一切使用していません。
有償サービスの「2軸4考」の分析ツールでは、グループを2つにしてグループ間の相違を対比することができるような工夫もしてあります。
「ブランド構築」などと言うのは簡単ですが、実際にブランドとして確立させることは大変なことと思います。
ブランド構築の手前には「CS:顧客満足」がなければなりませんし、その手前には「ES:従業員満足」がなければなりません。
「2軸4考」は、問題を発見し、どこから手を付けるべきかの指針を示すことのお手伝いができます。