一〇五

この映像は杵屋響泉さんが104歳の時だそうです。

105歳でCDを作ったというので早速買いました。

知らなかったのは自分くらいで、結構有名な人のようですが、初めて知ったワタシは正直、驚きました。彼女は大正3年(1914)の生まれだそうです。築地で生まれて、子供のころに小田原に引っ越して、それ以来ずっと小田原住まいだそうです。

そういうこともあって「小田原デジタルアーカイブ」に詳しい話が載っています。「無断複写・複製禁止」だそうですので、そちらのほうも参照してみて下さい。杵屋響泉さんのお話は、別段「長唄」だけのことではなく時代背景のことや人間模様や考え方、生き方など、なかなかに面白い内容だと感じました。

邦楽というジャンルも詳しくはないのでちょっと調べてみました。

雅楽
能楽
仏教音楽

浄瑠璃
 義太夫節、常磐津節、清元節、新内節、河東節、一中節、宮薗節
唄もの
 地歌(地唄)、長唄、荻江節、大和楽、東明流
俗謡、民謡
 歌沢、小唄、端唄、うた沢、俗曲、さのさ、都々逸
吟詠
 詩吟

これらのほかに器楽(琵琶、琴、尺八、太鼓など)があります。器楽はわかるとして浄瑠璃や唄物などの種類の違いは、とんと判りません。

永井荷風の小説で、新内の一派の節回しについて書かれたものを読んだ記憶がありますが詳細は忘れました。荷風が指摘したかったのは、そのちょっとした微妙な節回しに江戸を感じるというような、そうした微妙な江戸の文化は明治期に終焉を迎えてしまったということだったような気がします。

たまたま、島崎藤村の「夜明け前」を読んでいます。主人公の半蔵が平田篤胤の門人になりますが、当時の教養人のことごとくは四書五経を学んだわけですが本居宣長は「カラゴコロ」が入る前の日本の心を求めて万葉から古事記に行くわけで、ここに原点を求めようとするとなると、すくなくとも幕末の狂人たちは当惑してしまったようです。

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安政の大獄で井伊直弼が彦根で何することもなく、国学を長野義言から学んだりしていたわけですが、その主体が和歌だったことがとても不思議でした。いまでも実態が分かっているわけではないのですが、ポイントは「攘夷」の中核ともなる排外思想の根幹をなすような思想的な学びが「国学」なんだろうなという程度の認識でしかありません。

同様に「邦楽」というと三味線や琴、尺八くらいしかイメージができず、カラゴコロ以前に西洋文化の相当毒されてしまっていて、まさに日本文化の何たるかを知りもしない、知ろうともしないくせに根拠のない「日本民族の優位性」を刷り込まれていることを改めて認識せざるを得ません。

伝統とは何か? 古くからずっと変わらないことなのか? 1945年以前にあった考え方の一つに「皇国史観」というのがあり、日本を日本たら占めている大きな思想的な理念に「日本という歴史的世界観」を挙げることができるようです。これも、日本という伝統のことじゃないでしょうか。料理で言えば「老舗の味」というところでしょうか。

とはいえ、iTunesが奏でるロッシーニのオペラを聞きながら「長唄」について浅はかな拙文を書いています。

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