重粒子線がん治療装置についての解説があった

前回は、先進医療として保険対象外の医療について調べたことを書きました。今回は、少し装置寄りの話になってしまいますが、「へぇ~」という内容でもあったので追記してみます。

そもそも、治療用重粒子線がん治療装置を世界で初めて作ったのは「日本」だったのだそうです。1993年の事だそうです。

2019年の「日本原子力学会誌」によると日本が主導権を握れる数少ない医療機器だと書いてあります。それから3年経って、どうなっているのかは調べてはありません。

重粒子線がん治療装置開発の背景として、陽子線がん治療装置の半数以上が海外メーカーによって抑えられている一方、重粒子線装置においては国内メーカーがシェアの大半を占め、世界をリードしているとのことです。

2019年2月時点で、世界で稼働している陽子線装置は80か所ある一方で、重粒子線施設は12か所しかないのだそうです(2021年2月現在として日本国内で8か所が稼働)。

前回も書きましたが陽子線装置は「水素(陽子)」を加速させて癌に照射します。一方、重粒子装置は炭素イオンを光速の70%くらいの速度にして癌に照射するので、質量が大きい分、装置も難しくなるということです。

開発の歴史

アメリカでは1940年代から取り組みは始まっており、1950年には臨床研究が開始されています。

1990年に世界初の医療用陽子線がん治療装置が開発されることで普及が始まります。日本でも1998年に国立がんセンター東病院。2001年に筑波大学に陽子線がん治療装置が開設されました。

ブラッグピーク」という用語があって、陽子線も重粒子線にも共通する特徴なのですが、「体の表面から入るときは低いエネルギーで入って、特定の深さのところで急激にエネルギーがピークに達した後そこで止まる性質」があることがX線やガンマ線との違いになるとのことです。

対して重粒子線がん治療装置は1970年だにアメリカで研究が開始されたものの確立するには至らず世に出ることはなかったそうです。日本では1984年に装置建設を開始。住友重機機械工業、日立製作所、東芝、三菱電機などが10年かけて世界初の装置を完成させたとのこと。

同時期にドイツでも開発が始まり2009年からハイデルベルグ大学で稼働開始し日本としのぎを削ってきたが近年、積極的な展開を見せていないようです。

治療実績と動向

2018年4月から前立腺癌と頭頚部癌については公的保険が適用されるようになっているとのことです。X線や陽子線に比べて威力があるので骨肉腫や悪性黒色腫などに対しても実績が作られつつあるようです。

ガントリー」と言う部品に超電導磁石を使うことでビーム輸送ラインを大幅に小型化できたとのことですが詳細は理解不能です。

さらに呼吸による移動を伴う腫瘍を治療する場合、一般的には外部呼吸同期システムという患者の体表面を外部センサーで監視して呼吸運動の範囲を閾値として照射するような制御をするのだそうですが、さらに正確を期して内部呼吸同期システムを導入するとのこと。

これはX線透視装置によってリアルタイムに腫瘍位置を割り出して照射を制御するもので呼吸が不規則であっても安定した照射が可能となったようです。

そのほかにも「高速3次元スキャニング照射装置」と言う説明もありましたが、残念ながら理解は追いつきませんでした。

展望

世界で重粒子線装置の導入が広がっている。これらの多くは国内メーカーが対応することになる可能性が高いそうです。有効性が評価されれば世界に広がるとの明るい見通しが書かれています。

次のステップとして「量子メス」と呼ばれる超小型化して次世代の重粒子線がん治療装置の開発が計画されているとのことで、次回は「量子メス」について情報があれば、挑戦してみます。

とはいえ日本国内では陽子線の17か所に対して重粒子線の施設が8か所のようですし、都内にはないようですから、設備が大型すぎるのだろうと思いますし、高額なのでしょう。

医療費の高額化は避けて通れないと思います。お金で命を買う時代になるのか、はたまた国費で賄うことで医療費を突出させていくのかは政治が決める問題ではありますが、倫理の問題でもあり、凡愚が触れるべき話題でもないので、重粒子線の話題はここでおしまい。