今必要な経済対策

永濱利廣
第一生命研究所経済調査部主席エコノミスト

2022.4.11

BS12トゥエルビ
岸田総理にプレゼン「今必要な経済対策」


永濱利廣:第一生命研究所経済調査部主席エコノミスト

YouTubeから抜粋しました。

長期化が懸念される所得の海外流出

交易利得と円建て原油価格の変動に連動性がある。
前年で4兆円の流出があり、本年は13兆円の流出が予測されている。
前年に比べて9兆円が流出に加算される見通し。

需要喚起の規模

GDPギャップ
インフレ目標15兆円として、21年度末で35兆円足りず、経済対策が有効な効き目を出したとしても23年度末で17兆円足りない見通し。

要するに財政出動が必要と言うことを伝えている。GDPが不足している分は、財政を出動して埋めなければ単純に考えても「不景気」になるはず。

使った人が得をする政策が効果的

1兆円使ったとして、公共投資をすればそのままGDPを上げることはできる。
給付金だと2200億円、企業への給付金は4100億円。
これから消費物価が値上がりしてくるので期間限定で消費税を減税すると1兆円に対して5400億円の効果があるというグラフ。

やるなら選挙前が有効。ただし財務省が立ちふさがるでしょうね。なんと言っても頭文字が「」ですから。

消費税の軽減税率引き下げ

10%の消費税で13.2兆円あるとして5.1兆円は政府債務返済に充てている。
年間1兆円で2%引き下げられる(この根拠が分からなかった)ので、4兆円あれば8%引き下げられると言っているがこの辺の理屈はいま一つ分からなかった。

トリガー条項凍結解除

物価高対策として減税は有効なのでトリガー条項1年限定で発動すると初年度は1.5兆円の財政赤字拡大になるが2年以降はGDPも財政収支もプラスになる。

GoTo再開

GoToをやると1四半期で9千億円ほど上がっているので1年間やれば3.7兆円くらい消費が上がるが、2019年あたりから見れば12兆円くらい下振れている。

この政策は半金は国が支えるから、「時間」と「金銭」に余裕のある人は楽しんできてくださいと言う企画。

1年間、余裕のある人を支えたとしても12兆円も下振れているのだら、結局は余裕のない人を支えるほうがGDPとしてメリットが少なかったとしても「人道」的観点からすれば、教育を断念しなくても済む人たちがずっと先の将来に活きてくると思う。

すでに余裕のある人たちを楽しませたからと言って、将来に活きる「投資」にはならない。

省エネ耐久財購入支援

リーマンショックの時にやっている。
結構効き目があった。
耐久財の省エネを進めてエネルギー効率を上げられるし、GDPも上げられる。
ただしIC等が供給可能かが問題となるので、必要な資材を国産化していく考えが不可欠となる。

生産が追いつくのであれば、「家電エコポイント」は有効な政策。ただし、国内製造に限定するべき。少なくとも60%以上は。

グリーンニューディール

2兆円を基金して10年間企業を支援するとしているがグリーン投資が欧米に比べてが違う。

この手のイノベーションは、だいたい、やっただけで成果もなく終わる。太陽光発電や風力発電のような既存の発電ではなく、今世の中にないエネルギー源の生成に骨太に投資するべきと思うものの、だいたい、ひも付き業者に吸い上げられて終わるのが関の山。

政府債務=民間資産

日本だけ国債を60年で償還しなくてはならないというルールがある。日本だけ。
日本とドイツとイタリアは政府債務がほとんど増えていない。
これは債務に対する考え方の違いで元本返済を入れている国は日本だけ
普通の国は政府債務は借り替えするのが当たり前で利払い費だけを計上している。
政府債務を減らそうとする国は日本だけで異常なこと。

プライマリーバランスの黒字化」なんて言っているのは「」だけ。

食料自給率

リーマンショックの時、輸入食材が値上がりしたので食料自給率が上がった。
穀物高が長期化しそうな状況なので、この機会に食料自給率を上げて、さらに輸出できるような農業支援が有効である。

北海道なんか、余るほど土地があるのだから、北海道を中心の食糧生産を支援したらいいように思う。ウクライナやロシアで小麦が作れるなら北海道だって作れる。

MMT理論

MMT理論は経済のコントロールは全て財政であるということに尽きる。
いまみたいに金融政策が利かないときには財政が出動するべきであるが、金融政策が効くようになってきたときは金融政策のほうが有効だと思う。
世界は日本の政府債務の高さをとんでもない国だとみられてはいない。
最近も日本国債の見通しをフィッチが格付けを上げたのは、日本国債の信用が高いから。

なんでもバランスが不可欠。

円安

円安は輸入費だけで見ると負担が増えるということになるが、国内で生産されたものは競争力が上がる。
輸入品と競合するような場合は、輸入品が高くなるから相対的に競争力が上がることになる。

ただし、円安だからと言って以前の元総理の掛け声のように「インバウンド」で一山当てようとするのはあまり感心しない。

お金さえ持っていれば節度をわきまえないお国の人たちでも呼び込むことは、あまりに情けないことであるだけでなく、時間の問題で日本国に牙をむく人たちを歓迎するべきではない。

観光を経済的武器として活用して、韓国やオーストラリアでは嫌な思いをしているわけだし。

まとめ

永濱さんが岸田総理にプレゼンをしてきたそうです。なんにしても「検討」だけで終わらないことを祈りましょう。

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